お知らせ・近況

☆★たねから考える有機農業 -たねの安全・安心~復活する伝統野菜-

2011年4月 7日

3月29日に名古屋にて「あいち有機農業フォーラム」が開催されました。

テーマは「たねから考える有機農業 -たねの安全・安心~復活する伝統野菜-」

とても勉強になる内容ですので、特別号として配信させていただきます。
今回の特別号では「種の自然農園主宰岩崎政利さん」のお話を
抜粋してお伝えしたいと思います。
岩崎さんは長崎県で自然農法による農業を行っています。

そして自家採種(育てた作物から採種する方法)を行い、色々な種を
守り続けています。また生物多様性の中で野菜づくりに励んでいます。

ベジモ愛知でも種は自家採種(育てた作物から採種する方法)を行ったり
農薬処理されていないものを使用したりと、とても気にしています。

そしてベジモの畑でも多種多様な生物がいます。自然は厳しいですが
厳しい中からベジモの野菜たちも強さを身につけているように感じます。

生物が本来持つ生きる強さを大切に、これからもベジモは野菜作りに
取り組んでまいります。

今回は岩崎さんの野菜作りに対する想いや種の種類、野菜の花が
咲いて種を取るまでのストーリーを資料から抜粋して記載しています。

心温まるストーリーです。
是非読んでいただけたらと思います。

(※原文をそのままに抜粋させていただいています。)


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 ☆★種を守り続けるというドラマ 種の自然農園 岩崎政利さん━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
~☆★生物多様性農業での野菜作り

私は、28年前に、それまで多くの農薬、そして多くの化学肥料を
使用する近代農業をやっていく中で、突然にして体を壊してしまいました。
それをきっかけにして、農薬や化学肥料を使わない有機農業を営んできました。
そして、日本の有機農業運動のなかで、種の交換会や種のネットワーク運動に
長年携わってきました。この運動の中で交換会を開くごとに、私の種の
自然農園には、それぞれの地域の中で大切に守り続けられていた大切な種が
いろいろと集まってきました。そんな在来種や固定種の野菜たちとは、
実に不ぞろいな、また多様性豊かな野菜たちであります。
そんな種と共に、生物多様性農業のなかで野菜作りに励んでいます。


~☆★さびしい種、幻の種、外国からやってきた種

今まさにこの自然界から消えようとして、
人に救って欲しいと願っている、さびしい種。

こんな野菜に、福たち菜があります。
岡山でこの種を守っている方から、種の保存を依頼されていたものですが、
このままでは種が発芽しなくなることを心配して、その種を増やしていきました。
そしてこのような種としては、私の街の雲仙こぶ高菜があります。
この雲仙こぶ高菜を守ってきた私のすぐ近くの種屋さんが、この野菜に
ほれ込んで夫婦で一生懸命に地域の中で、また日本中に広げられていかれ
ましたが、次第に作られなくなってしまい、地域の中でもまったく栽培は
なくなってしまい、峰さんがなくなってからは、地域のなかで、奥さんが
自らの自家消費のために細々と、種を守ってありました。
そのおばあちゃんも年々に農作業ができなくなり、雲仙こぶ高菜も、
まさに、私の町から消えようとしていた野菜でありました。

山奥でひっそりと生き延びて、これから日の目を見ようとしている、
まさに伝説を感じる、幻の種。
私の大好きな野菜のひとつに五木の赤大根があります。
この大根のルーツの椎葉村を訪ねました。800年の歴史の中で、
平家大根として守られ続けていました。
その種を守っていた椎葉クニコばあちゃんと一緒になってその種を
あやして、その種を両手で握りしめたときに、なんとすばらしい
ものか、感動してしまいました。
そして種を守り続ける大切さを、この種から学ぶことができました。
よく守られ続けてきたね。800年も。その種が今私の農園にいま
生息しています。

遠くは外国からやってきた、今は戸惑いながらも、わたしの農園に
なんとか住み着こうとして今とてもがんばっている種。
そのなかに、中が赤い紅芯大根があります。
16年ぐらい前に、中国の野菜の技術者と東京で種の交換会で
いただいたものです。その種で育てたものとは、とても割れやすい
もので、種を取るたびにもうやめようかなあ、今年で止めようかなあ、
といいながらも長年種を守ってきました。
しかし、ほんとうに止めようと思ったときに、とてもすばらしい
大根になっていたものです。本当に守り続けてよかったと感じました。

じつに15年近くもかかってしまったものでした。
守り続けていくことの大切さをこの野菜から知りました。

4年前に、イタリアでのスローライフのテラ、マードレ国際大会の中で、
イタリアのトスカーナの生産者との種の交流の中で、いただいたものも、
今種を守っています。

挫折しそうになった赤のピーマン、ようやく種もたくさんになって
今年から多く栽培を始めた不断そう。おいしいという消費者の想いで
守ってきたロマネスクたち。
遠くからやってきた野菜たちとはここはどこだと戸惑いながらも何とか
私の農園に根付こうとがんばっています。


~☆★種を育てることは、自らの子供を育てること

野菜たちの一生と付き合っていく、種を育てることとは、
まさに、自らの子供を育てていくことととてもよく似ていることでした。
かわいい子供には旅をさせる。

種には旅をさせよう。

種は旅をしながら、自らを守ろうとしているようです。
私の農園とは、疲れた渡り鳥がちょっと休憩して、そしてまた元気に
なって旅に出ていく、そんな役割の農園に励んできました。

種とはその野菜を生産する人の思いの中で守られていく。野菜たちも
生産者に嫌われないように、後をついていこうとしているように感じます。
だから迷ってはいけないのです。私の青首大根が、自らの心の迷いが
野菜に現れていました。


~☆★野菜が一番美しいとき

わたしは今まで野菜の収穫をするときが、野菜は一番美しいと思っていました。
しかしいろいろな野菜の種を守っていく中で、野菜たちの一番美しいときは、
野菜たちが花を咲かせているときだと思うようになりました。
まさに野菜たちが嫁にいくとき、なぜか人が捨て去ろうとしている
在来種の野菜ほど、美しい花が咲くのではと思います。
そして、その花が咲いているときの出会いこそ、人と野菜たちが、
一番近くになれる瞬間であると思いました。
その花の瞬間とは、野菜の一生の中で一番に、野菜たちに生産する人
として近づける感じがします。

野菜たちの花の場面に長い間出会う中で、
農業とは、農法とは、生産技術だけでないことを知りました。
私の農園の役割とは、この花のように、美しく感じること、感動することを
農業の中で、生み出していくことだと思っています。

スローフードな農業とは、とっても素敵な農業であったのです。

そして、虫や風と一緒になって次世代の種を作っていくのです。


~☆★「ここまで育ててくれて、ありがとう」

花の時期が終わって大根の花から種ができ鞘の中で膨らんで
いく中で、野菜の姿とは違う、どんどん見た目にはとても醜い姿
に変わっていきます。ちょっと鞘が色づいてきますと、
今度は小鳥達が盛んにこの種を食べようと狙います。
そして最後には、今まさに枯れ果てて、すこしの風邪でも倒れそう
になる中でも、自らの次世代の種を、支えて大切に守っています。

根は枯れ果てても、大切な次世代の種を支えているのです。
それはまさに野菜たちの大往生です。20年近く守ってきた野菜たち
ですが、20年にしてやっと、この瞬間が野菜の一番に美しいとき
なのではと、感じるようになりました。
枯れ果てている野菜が、私に向かって
「ここまで育ててくれて、ありがとう、あとはまた頼みますよ」と
いっているように感じます。


~☆★種を赤ん坊のように「あやす」

その枯れ果てている、野菜たちにはとても思えない、
鞘を充分に乾燥させてから、赤ん坊をあやすように左手で抱いて、
右手で鞘から種をあやしたり、シートの上において、棒でたたいたり
してあやしていきます。
さらに、よく風が良く通る場所に手、手で揉みほぐしながら、両手
いっぱいにして風でふるい種をさらに何度も何度も、あやしていきます。
種の小さなものは弱い風に、種の大きな物はすこし強い風に、
しかし大根はそんなにやさしく種をあやすことはできません。
ちょっと荒っぽく棒でたたいたり足で踏んだり、それでもいうことを
聴かないときには、トラクターや車のタイヤで踏んだりします。
そしてあやしていくごとに、種はだんだんに少なくなって、最後には
両手いっぱいの姿になってしまいます。


~☆★スローフードの農業、多様性豊かな種、伝統、風土、そして人の思い

まさにスローフード農業とは、このような種の多様性の中で、
伝統、風土、そして人の思いの中で育まれるなか生産される農産物では
ないでしょうか。

種を守り伝えていくこととは、より安全な、よりおいしい野菜作りの
始まりでもあります。
そしてそれは、その地域の本当の食の文化が始まっていくことでもあります。
私の農園に、次々消え去ろうとしている種が集まっていますが、やがて私たち
の地域に、また次の世代に受け継がれていったときに、そのたくさんの多様性
豊かな種によって、より豊かな食の文化が広がって、地域がより豊かになって
いくことを願っています。

(第3回あいち有機農業フォーラム資料 岩崎さんのメッセージより抜粋)


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