お知らせ・近況

生産者を訪ねて①九重味淋

2011年4月25日

今回の行き先は知多半島にある九重味醂株式会社。築300年の歴史を持つ蔵。
今回は本みりんに目をつけて行ったわけですが、まず外観に驚きでした。どこにでもありそうな商店街?らしきところに突如現れた"九重味淋株式会社"の8文字。
そこだけ切り取ったような黒い蔵。第一声は"かっこいい"。

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九重さんの規模は思ったより小さく、こだわってやっている様子が伝わってきました。規模が大きすぎるとそれだけこだわるのも難しくなってくるもんね。まず生産のビデオを見てから蔵へ。

本みりんの材料
もち米、米こうじ、焼酎。

もち米の質によりみりんの甘さが決まるため、国内産のもち米の中でもでんぷん質を多く含み、芳香な甘味の得られる品種を厳選しているそうです。

仕込み

蒸したもち米を大きな釜から少しずつ放冷機で適温に冷やし、「米こうじ」を加えます。「米焼酎」と合わせて撹拌したら、糖化熟成する仕込み蔵へと運びます。

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糖化熟成

焼酎をあわせて攪拌したら糖化熟成する仕込み樽へ。ここで圧搾されるまでのものをもろみといって、もろみが均一に熟成するように、「櫂入れ」(蔵人がもろみを8の字にまんべんなくかき混ぜる)を行います。
温度がとても重要で蔵のなかは常に18℃~20℃に保たれているらしい。夏の暑さ、冬の寒さから守るため、このように樽が半分は地下に埋まっていました。

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圧搾

2~3ヶ月後に圧搾です。糖化熟成したもろみを酒袋に詰め、今は製造されていない"佐瀬式圧搾機"という昔ながらの圧搾機で2昼夜かけて味噌ぐらいの柔らかさになるまでゆっくりと絞ります。(一気に圧力をかける圧搾機だと雑味がでてしまう。)
ここで本みりんともろみに分けます。

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貯蔵熟成

絞られた本みりんは半年から1年かけて大蔵でゆっくりとねかせます。熟成したら最後に微妙に異なる風味を均一にするため、大きなタンクの中で混ぜ合わせます。
味に深みを増した本みりんをろ過し、あの黄金色に澄んだ本みりんが出来上がる!
というわけです。

大蔵
宝永3年(1706年)に建築され、天明8年(1788年)に移築された黒塗総下見板張の土蔵造りの蔵。
蔵のタンクは、床から少し浮かせた状態で置き、上部には木の蓋をかぶせています。地面の温度から直接影響を受けないように底上げし、みりんが呼吸できるよう、木製のふたを使っているのです。

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感想

何百年も前からある木の樽に菌が住み着いていて、その菌たちがすばらしい調味料を作り出してくれる事、そして昔ながらの機械がたくさん残っていて蔵人さんがそれらを今も大切に使っている事に感動しました。

試飲させてもらった九重本みりんはデザートワイン?!というほどのお味で思わず"もう1杯!!"と言ってしまうところでした。そのまま飲んでもおいしい。

~九重みりんさんのお言葉~

時間をかけて、こうじを働かせ、もろみを淋らせ、みりんをねかせる。その先にしか、本物の味わいは生まれないと私たちは考えています。

本物をつくり続けることが、私たちの仕事です。一人ひとりが、先代から受け継いだ味を「変えない」よう、今日も一心不乱にみりんづくりに励んでいます。

HPより抜粋

九重みりん

みりん作りへのひたむきな心が充分に伝わってくる今回の蔵見学でした。


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